第5章 先進地事例−北海道赤平市
北海道のほぼ中央部に位置する赤平市は、上砂川町と同じように石炭産業によって繁栄した都市である。最盛期の昭和29年には5万6千人を超える人々が生活していたが、中小炭鉱の相次ぐ閉山や住友赤平炭鉱など大手炭鉱の合理化、規模縮小などに伴って人口が減少し、平成2年の国勢調査では2万人を割り込んでいる。赤平市では、早くから石炭産業に代わる基幹産業の育成や、炭鉱施設など産業遺産の保全などに積極的に取り組んでいる。
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1、赤平市の工業 | |
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2、産業遺産の保全と活用 | |
1997(平成9)年、堀達也北海道知事(当時)が「北の世界遺産」構想を打ち出し、1999(平成11)年に「北の世界遺産推進方策検討チーム」によって提出された報告書によって炭鉱跡などの遺跡を、まず「北海道遺産」として保全すべきであると提起された。報告書の提出に先立って、道内14支庁ごとに「北海道遺産の」調査検討に入り、空知支庁では炭鉱関連施設や歴史的遺物を対象とすることになり「そらち・炭鉱の記憶推進事業」の活動が開始された。これに合わせて、赤平市では平成11年5月に「炭鉱の歴史を保存・継承する市民会議」が設立された。さらに、住友赤平炭鉱立坑やぐら(写真23)が日本産業考古学会の「産業遺産」に認定されるなど、産業遺産の保存と活用に向けた動きがよりいっそう活発化した。
赤平市では、国際会議の開催を契機にさらなる地方活性化の指針を作成するなど、産業遺産を活用したまちづくりが積極的に行われている。 |